ドイツ駐在者の健康管理:春の花粉症シーズンに備える市販薬の一例 〜セチリジン含有薬「Cetirizin HEXAL」〜
海外に赴任する社員の健康管理は、企業の人事・労務担当者にとって重要な業務のひとつです。特に、医療アクセスに制限がある地域では、ちょっとした不調が大きなリスクに発展することもあります。
本連載「海外駐在員の薬事情」では、各国で市販されている医薬品の情報を整理し、駐在員を支える人事担当者の皆さまに向け、現地での選択肢を把握するための参考情報をお届けします。
※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療行為、服薬指導、医薬品推奨を行うものではありません。服用判断は必ず現地の薬剤師・医師へご相談ください。
ドイツの春は花粉シーズン
ドイツでは、シラカバやハンノキなどの花粉が3〜5月頃に多く、その後イネ科の植物の花粉が数か月飛散します。日本のスギ花粉と同様に、現地でアレルギー症状を経験する日本人駐在員も増加傾向にあります。
「現地で初めて花粉症になった」「薬局で何を買えばいいかわからない」という声も多く、あらかじめ基本的な薬情報を知っておくことは、駐在員支援に役立つポイントです。

市販薬の一例:Cetirizin HEXAL
ドイツ国内では、処方箋を必要としない一般用医薬品の一つとして、HEXAL社が販売する「Cetirizin HEXAL」が薬局(Apotheke)で処方箋を必要とせずに入手可能です。
本製品は、アレルギー症状の緩和を目的とするセチリジン塩酸塩(10mg)を有効成分とする第2世代の抗ヒスタミン薬です。
【製品概要】(参考情報)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | 一般用医薬品(処方箋不要で購入可能) |
| 有効成分 | セチリジン塩酸塩 10mg |
| 主な用途 | アレルギー性鼻炎、花粉症、蕁麻疹などの症状緩和 |
| 用法・用量 | 成人:1日1回10mg 小児(6〜12歳):1日2回5mg |
| 服用タイミング | 食事の有無を問わず使用可能 |
| 副作用例 | 眠気、倦怠感、口渇などが報告されています |
| 禁忌・注意事項 | 重度腎障害、6歳未満、小児癲癇の既往がある場合などは注意が必要 |
| 剤型 | 白色のフィルムコーティング錠(割線あり) |
※詳細な使用法・注意点については、必ず現地薬剤師・医師にご確認ください。
日本の薬との違いは?
Cetirizin HEXALは、日本で市販されている「ストナリニZ」などのセチリジン含有薬と同様の成分(セチリジン塩酸塩)を含みます。 製品情報によると、対象年齢は6歳以上とされています。
また、ドイツ国内で流通している一般用医薬品は、錠剤のサイズが日本の製品より大きめであることがあり、服用しにくいと感じるケースも少なくありません。
「現地で買ったけど、飲みにくくて結局服用できなかった」というトラブルもあり、事前に割線があるか、粉砕できるかなどを確認することが大切です。 服用に不安がある場合や服薬に関する判断に迷う場合は、Apothekeの薬剤師に相談することが推奨されます。
副作用に関する一般的注意
医薬品の効果や副作用は、個人の体質、代謝、体格差などによって個人差が生じることがあります。 抗ヒスタミン薬では、一般的に眠気、倦怠感、口渇などの副作用が知られています【参考:SHOP APOTHEKE製品情報】。
ドイツで市販される製品も、一般成人向けを標準として設計されており、 体格が比較的小さい方でも特別な用量調整が必要とされるケースは限定的ですが、体質や体調によっては影響を受けやすい場合も理論上考えられます。
使用にあたっては、
- 製品パッケージに記載された用法・用量を厳守すること
- 初回使用時には、眠気等の副作用への留意が必要であること を、一般的な注意点として理解しておくことが重要です。
服用に不安がある場合や健康状態に懸念がある場合は、必ず現地の薬剤師または医師に相談してください。
なぜ人事が薬の情報を把握しておくべきか?
企業の人事部門が医療行為を行うことはできませんが、現地で一般的に入手可能な薬の情報を知っておくことで、駐在員が健康不安を感じた際にスムーズに医療機関にアクセスする支援が可能となります。
医療判断は医師・薬剤師に委ねつつも、選択肢を整理し、駐在員が「相談のきっかけ」を持てるようサポートすることが、健康リスクの低減と企業リスクマネジメントに寄与します。

出典・参考情報
※本記事は、公開されている一般情報に基づき構成されています。
服用や健康管理に関する判断は、必ず現地医療専門職の指導を受けてください。
次回予告:各国の鎮痛剤や胃腸薬などもご紹介予定
いかがでしたか? 海外での医薬品に関する情報は、赴任者の健康管理において重要な要素です。 次回は、その他の国々(アメリカ・東南アジアなど)で購入可能な、風邪薬・胃腸薬・鎮痛薬といった、よくある症状に使われる市販薬を取り上げます。
SaveExpatsは、企業の人事担当者様、そして海外赴任者とそのご家族をサポートするサービスを提供しております。 海外での健康管理や生活に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※免責事項:
- 情報提供の目的と対象者:本記事は、ドイツに在住または赴任されている日本人の方々への一般的な情報提供のみを目的として作成されています。
- 日本国内未承認の医薬品について:本記事で紹介されている医薬品は、特定の国・地域において承認・市販されているものですが、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を得ておらず、日本国内では販売されておりません。 したがって、本記事はこれらの医薬品の日本国内での使用や個人輸入等を推奨、斡旋、または広告するものでは一切ありません。
- 医学的助言の否定:本記事で提供される情報は、いかなる医学的、診断的、または治療的な助言を構成するものではありません。医師、薬剤師、その他の資格を有する医療専門家による個別の助言に代わるものとして利用されるべきではありません。健康上の問題や医薬品の使用に関する疑問については、必ず医療専門家にご相談ください。
- 専門家への相談義務:いかなる医薬品(市販薬を含む)であっても、その使用を検討する前、または使用する前には、ご自身の健康状態、アレルギー歴、現在服用中の他の医薬品との相互作用などを考慮し、必ず現在お住まいの国・地域の医師または薬剤師にご相談の上、その指示に従ってください。
- 現地法規の遵守と確認:医薬品に関する規制、承認状況、入手可能性、製品の成分・名称・パッケージ等は、国や地域によって大きく異なります。利用者は、ご自身の責任において、医薬品の購入・使用に関する現地の最新情報を確認し、居住国の法律・規制を遵守する必要があります。 当社は、本記事の情報が利用者の居住国の法規に適合することを保証するものではありません。
- 効能・効果に関する情報について:本記事に含まれる可能性のある効能・効果に関する記述は、海外における一般的な情報や製品情報に基づくものであり、特定の製品の有効性や安全性を当社が保証または推奨するものではありません。また、これらの効能・効果は日本の薬機法において承認されたものではありません。自己判断での使用は避け、必ず専門家にご相談ください。
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