香港編 ~小児ののどケアに使える製品「NIN JIOM PEI PA MEL (Kids Formula)」~
はじめに
海外赴任者が新しい環境で安心して働けるよう、現地の生活情報や医療事情を把握・共有することは、人事担当者の重要なサポート業務の一つと言えます。 そのためには、現地の文化、生活習慣、医療事情、教育環境など、多岐にわたる情報の収集と提供が欠かせません。特に、現地で入手可能な医薬品に関する一般的事項の共有は、赴任者とそのご家族の健康管理を支えるうえで重要な要素です。
本シリーズでは、薬剤師監修のもと、海外の市販薬に関する情報をお届けしています。企業の人事担当者や赴任者ご本人が、現地での健康管理を適切に行うための参考資料としてご活用いただければ幸いです。
今回は、香港で広く販売されている小児用のどケア製品「NIN JIOM PEI PA MEL (Kids Formula)」(繁体字で「京都念慈庵 兒童枇杷蜜 香橙味」)をご紹介します。
香港では、大気汚染(PM2.5など)の影響もあり、日常的にお子さんが咳き込むケースも少なくありません。日本人駐在者向けの医療インフラは比較的整っている一方で、医療費が高額となることもあるため、お子さんが「喉の痛みがあるが熱はない」「夜間咳がひどくて眠れていない」といった時に受診判断に迷うことも多いようです。
そうした場面で、自宅でケアが可能な選択肢の一つとして、市販薬を適切に活用できるかどうかは、赴任生活の安心感に大きく関わってきます。現地で手に入りやすい製品の特徴や、日本国内で販売されている類似製品との違いを知っておくことは、小さなことのように見えて、実は非常に実用的な備えとなります。
※本記事は、一般情報の提供を目的としており、医療行為、服薬指導、特定製品の推奨を行うものではありません。服用の可否については、現地の医師・薬剤師へご相談ください。

■製品概要:NIN JIOM PEI PA MEL (Kids Formula)
◇京都念慈庵 兒童枇杷蜜 香橙味 基本情報
- ブランド名:NIN JIOM(京都念慈菴)
- 製品名:NIN JIOM PEI PA MEL (Kids Formula) 8’s
繁体字で「京都念慈庵 兒童枇杷蜜 香橙味」 - 形状:シロップ状の分包(15g×8包)
- 主な有効成分:
ビタミンC、魚腥草(ドクダミ)、枇杷葉、党参、百合、陳皮、西洋人参、麦門冬、蜂蜜、桔梗、遠志、茯苓、杏仁、甘草(グリチルリチン)、生姜、メントール など - 一般的な使用目的:
喉を潤し、炎症を緩和して咳を鎮める。喉の痛み・不快感の緩和。- 対象年齢と用量:
- 7~12歳:1包(15g)を1日2~3回
- 3~6歳:2/3包(10g)を1日2~3回
- 服用方法:そのまま、またはお湯に溶かして服用。甘く飲みやすい風味で、小児でも服用しやすい。
- 注意事項:
- 1歳未満には蜂蜜含有のため禁忌
- 甘草(グリチルリチン)を含むため、高血圧やステロイド併用中の方は要注意
- アレルギー体質・妊娠・授乳中の使用は避ける
- 保存料無添加。室温で保管し、子どもの手の届かない場所に保管
- 対象年齢と用量:
◇日本で販売されている類似製品との比較
NIN JIOM PEI PA MELは、香港では広く使用されていますが、日本ではあまりなじみがない商品かと思います。日本の小児呼吸器系に作用する製品と NIN JIOM PEI PA MEL の違い、本製品を効果的に使用するためのポイントを表にまとめました。
| 製品名 | 目的 | 対象年齢 | 日本の製品と比較した NIN JIOMを選ぶポイント |
| NIN JIOM PEI PA MEL (Kids Formula) | 喉の不快感、咳 | 3歳以上 | 蜂蜜や枇杷葉などの生薬ベース+甘いシロップで、飲みやすくお子さまでも継続服用しやすい |
| クラシエ 「こども咳止め 漢方ゼリー」 | 激しい咳、気管支炎、小児喘息 | 2歳以上 7歳未満 | 五虎湯は古くから咳や気管支炎に用いられてきた漢方で、NIN JIOMは軽い咳や喉の違和感向けに作られた処方 |
| 宇津こどもせき どめシロップA | 咳、痰 | 3か月以上 | NIN JIOMは西洋薬成分不使用で、自然由来の成分のみを求める家庭にマッチ |
| ツムラ麦門冬湯 エキス顆粒 | 乾いた咳、気管支炎 | 2歳以上 | NIN JIOMは漢方で広く用いられる顆粒ではなくシロップで、味や服用感に慣れないお子さまにも使いやすい |
◇活用シーンの例:どんなときに使える?
- 喉の痛みがありそうだが、熱はなく、すぐに病院へ行くか迷うとき
- 夜間や休日、軽い咳が続くときに病院へ行く前の応急処置として
- 香港の気候・大気汚染(PM2.5など)で咳が出やすいお子さまに
- 甘いシロップ状で服用しやすい製品を探しているとき
■香港での入手方法:どこで買える?どんな点に注意?
「NIN JIOM PEI PA MEL (Kids Formula)」は、香港市内の以下のような店舗で入手可能です。
◇主な販売チャネル
- 大手ドラッグストア:Watsons(屈臣氏)、Mannings(万寧)など
- チェーン系スーパー:Wellcome、ParknShop(PKS) 等
- 中医薬局や漢方薬店
◇購入時のポイント
パッケージの表示は基本的に英語・中国語併記です。大人用製品と外見が似ているため、必ず子ども用であることを確認しましょう。店頭で見つからない場合は、薬剤師に商品名を伝えるか、パッケージ画像を提示するとスムーズです。
◇オンライン購入も可能
香港国内のECサイトや大手通販サイト(Watsons HK公式オンラインショップ、HKTVmall など)での購入も可能です。
■総括:どんな症状・場面に向いている?
「NIN JIOM PEI PA MEL (Kids Formula)」は、喉の炎症や軽度の咳を緩和することを目的とした中医学に基づいた成分を含む製品です。
今病院に行くほどではないと思うが様子を見た方が良さそうときなどに、ホームケアの一環として使える市販薬の選択肢となり得ます。
また、蜂蜜や漢方由来の成分を使用しているため、なるべく添加物が少ない製品を選びたいと考える家庭や、甘味のある服薬形態を希望するお子さまにも適しています。
一方で、1歳未満や甘草の相互作用に注意が必要なケースでは使用を控えましょう。

■企業人事としての対応のポイント
企業の人事担当者として、赴任者が現地での生活や業務を円滑に進められるよう、健康管理に関する情報提供は重要な役割のひとつです。特に香港のように、PM2.5の影響で大気の質が悪化しやすい日がある環境では、お子さんを含む家族の咳やのどの不調に関する対応への配慮が求められます。
例えば、赴任前研修や安全衛生活動の中で、現地で入手可能な医薬品の一般的な特性や使用上の注意点を紹介しておくことは、企業による健康支援の一環となります。
ただし、特定の製品を推奨するのではなく、あくまで「選択肢のひとつ」として情報提供を行うことが重要です。そのうえで、服用の判断は現地の医師や薬剤師へ相談するよう促す姿勢が求められます。
NIN JIOM PEI PA MEL (Kids Formula) は、香港で使用されている小児向けのどケア製品であり、「様子を見ても大丈夫そうだが、少しでも楽にしてあげたい」というタイミングののどの痛みや咳など、軽度な呼吸器の不調が見られる場面において有用な選択肢のひとつです。
■参考資料
宇津救命丸株式会社 「宇津こどもせきどめシロップA」公式ページ
■ 次回予告:各国の鎮痛剤や胃腸薬などもご紹介予定
いかがでしたか? 海外での医薬品に関する情報は、赴任者の健康管理において重要な要素です。 次回は、その他の国々(東南アジアなど)で購入可能な、風邪薬・胃腸薬・鎮痛薬といった、よくある症状に使われる市販薬を取り上げます。
SaveExpatsは、企業の人事担当者様、そして海外赴任者とそのご家族をサポートするサービスを提供しております。 海外での健康管理や生活に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※免責事項:
- 情報提供の目的と対象者:本記事は、香港に在住または赴任されている日本人の方々への一般的な情報提供のみを目的として作成されています。
- 日本国内未承認の医薬品について:本記事で紹介されている医薬品は、特定の国・地域において承認・市販されているものですが、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を得ておらず、日本国内では販売されておりません。 したがって、本記事はこれらの医薬品の日本国内での使用や個人輸入等を推奨、斡旋、または広告するものでは一
- 医学的助言の否定:本記事で提供される情報は、いかなる医学的、診断的、または治療的な助言を構成するものではありません。医師、薬剤師、その他の資格を有する医療専門家による個別の助言に代わるものとして利用されるべきではありません。健康上の問題や医薬品の使用に関する疑問については、必ず医療専門家にご相談ください。
- 専門家への相談義務:いかなる医薬品(市販薬を含む)であっても、その使用を検討する前、または使用する前には、ご自身の健康状態、アレルギー歴、現在服用中の他の医薬品との相互作用などを考慮し、必ず現在お住まいの国・地域の医師または薬剤師にご相談の上、その指示に従ってください。
- 現地法規の遵守と確認:医薬品に関する規制、承認状況、入手可能性、製品の成分・名称・パッケージ等は、国や地域によって大きく異なります。利用者は、ご自身の責任において、医薬品の購入・使用に関する現地の最新情報を確認し、居住国の法律・規制を遵守する必要があります。 当社は、本記事の情報が利用者の居住国の法規に適合することを保証するものではありません。
- 効能・効果に関する情報について:本記事に含まれる可能性のある効能・効果に関する記述は、海外における一般的な情報や製品情報に基づくものであり、特定の製品の有効性や安全性を当社が保証または推奨するものではありません。また、これらの効能・効果は日本の薬機法において承認されたものではありません。自己判断での使用は避け、必ず専門家にご相談ください。
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