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【第7回】海外駐在員の薬事情 – 健康リスクと人事の備え 

ベトナム駐在者の健康管理: 乗り物酔い対策に「Nautamine(ナウタミン)」

はじめに

見過ごせない乗り物酔いリスク―業務効率低下の影

第7回の舞台はベトナム─製造業や建設業をはじめとし、日系企業が数多く進出し、工業団地や建設現場の拠点が国土に複数存在します。社用車や公共交通機関、さらには船や飛行機による長距離移動が生じるこの国での駐在では、若手トレイニーから拠点長まで、移動中のめまいや吐き気が業務パフォーマンスを大きく下げるリスクがあります。さらに、現地の医療機関まで辿り着くのが難しい地方拠点も多く、症状が長引くと現場対応にも支障を来します。事前に市販で入手できる酔い止め薬の選択肢を把握し、トラベルキットに常備しておくことは、駐在員の安全・快適な移動を支援するうえで有効です。次節では、ベトナム国内で処方箋不要で購入できる乗り物酔い薬「Nautamine(ナウタミン)」の特徴と活用ポイントをご紹介します。

   項目名    内容
ブランド/製品名Sanofi-Aventis 「Nautamine」
有効成分錠剤(経口投与用)
一般的な使用目的自動車酔い・船酔い・航空機酔いなどによる
めまい、吐き気、嘔吐、頭痛の予防および緩和
対象年齢・用量12歳以上:1~1.5錠を6時間間隔で服用(1日最大6錠)
2~6歳:1回0.5錠(粉砕)1日2~3回
服用時のポイント眠気を催しやすいので運転や機械操作時は避ける
食後または牛乳と一緒でも可
副作用例眠気、頭痛、便秘、口渇など。まれにアレルギー反応や依存リスク
飲み合わせ注意アルコール、中枢神経抑制薬、抗コリン薬との併用注意
MAO阻害薬(抗うつ薬の一種 )とは併用禁止
禁忌2歳未満、重症筋無力症、緑内障、排尿困難、MAO阻害薬使用中、授乳中
処方箋不要
保管方法30℃以下、直射日光・高温多湿を避けて保管

■ 日本の類似薬との違い

製品名主要成分等用量・対象年齢特徴・差異
Nautamine(ナウタミン)ジフェンヒドラミンジアセチル塩2歳以上:減量して使用可
12歳以上は1~1.5錠
最大6回/日まで自己調整可
食後服用可能で胃への負担軽減
アネロン ニスキャップマレイン酸フェニラミン、スコポラミン他15歳以上:乗車30分前に
1カプセル(1日1回)
長時間持続型だが1錠のみ
複数回は想定外
トラベロップQQ Gd-クロルフェニラミン、
スコポラミン他
5歳以上:
乗車30分前に1回
最大1日2回
ドロップ錠で小児に◎

抑えたいポイント

  • 回数調整の柔軟性:ナウタミンは6時間毎に最⼤6錠/日まで服用可。長距離移動で複数区間を乗り継ぐ際にも対応しやすい。
  • 小児対応:2歳以上の粉砕服用OK。現地では親が自ら細かく調整可能。
  • 眠気の程度:ジフェンヒドラミン系は眠気が強く出やすいため、運転などには注意

薬以外の酔い止め補足情報

薬での対応も有効ですが、薬以外のセルフケアについてもあらかじめ周知しておくことで、赴任者自身が現場でうまく対処できる可能性が高まります。

  • 偏光グラスの活用:海面や道路の乱反射を抑え、視覚的ストレスを軽減します。
  • 軽食の摂取:空腹や満腹を避けるため、ビスケットやバナナなど消化に優しい軽食を乗車前に。
  • カフェインの適量摂取:コーヒーのカフェインには軽度の酔い止め効果が報告されています(過剰摂取は逆効果)。
  • 事前の体調管理:前夜の十分な睡眠やアルコール控えめなど、全身状態を整えておく。
  • 視線の固定:読書やスマホは視線移動を増やし酔いやすいので、遠くの視点を一定に保つ工夫を。

■ 企業人事としての備え

  1. 赴任前研修への組み込み
    •  長距離移動・船舶利用時の酔い止め対策を安全衛生活動に組み込み、薬の製品例と注意点、薬以外のセルフケアを共有。
  2. キット常備の推奨
    • 社用車のトラベルキット(救急箱)に、ナウタミンを人数分ストック。到着地でもドラッグストアで同じ製品が買える安心感を。
  3. 安全配慮義務の一環として
    • 定期健康面談や駐在員との会話の中で“移動時のセルフケア”をトピックにすることで、駐在員の安心感向上を図る。

Nautamine(ナウタミン)は、ベトナムの移動事情に合わせて回数調整しやすく、小児から大人まで対応可能な乗り物酔い薬です。 製造業や建設業の駐在員は移動頻度が高く、乗り物酔い対策を取り入れることは業務のパフォーマンス維持において重要です。
人事担当者の皆さまは、ぜひ本製品をはじめとした酔い止め対策を赴任前研修・安全衛生活動に取り入れ、駐在員の安心・業務の円滑化をサポートしてください。

■ 出典・参考情報

Nautamine ― 製品情報

アネロン ニスキャップ ー 製品情報

トラベロップQQ G 

■ 次回予告:各国の鎮痛剤や胃腸薬などもご紹介予定

各国で人気の「市販鎮痛薬」「整腸剤」「虫よけ薬」に続き、第8回以降はインドネシアやカンボジアでの身近な対策薬をご紹介予定です。

SaveExpatsは、企業人事と海外赴任者をつなぐヘルスサポート情報をお届けします。どうぞお気軽にお問合せ・ご相談くださいませ。

※免責事項:

  • 情報提供の目的と対象者:ベトナムに在住または赴任されている日本人の方々への一般的な情報提供のみを目的として作成されています。
  • 日本国内未承認の医薬品について:本記事で紹介されている医薬品は、特定の国・地域において承認・市販されているものですが、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を得ておらず、日本国内では販売されておりません。 したがって、本記事はこれらの医薬品の日本国内での使用や個人輸入等を推奨、斡旋、または広告するものでは一
  • 医学的助言の否定:本記事で提供される情報は、いかなる医学的、診断的、または治療的な助言を構成するものではありません。医師、薬剤師、その他の資格を有する医療専門家による個別の助言に代わるものとして利用されるべきではありません。健康上の問題や医薬品の使用に関する疑問については、必ず医療専門家にご相談ください。
  • 専門家への相談義務:いかなる医薬品(市販薬を含む)であっても、その使用を検討する前、または使用する前には、ご自身の健康状態、アレルギー歴、現在服用中の他の医薬品との相互作用などを考慮し、必ず現在お住まいの国・地域の医師または薬剤師にご相談の上、その指示に従ってください。
  • 現地法規の遵守と確認:医薬品に関する規制、承認状況、入手可能性、製品の成分・名称・パッケージ等は、国や地域によって大きく異なります。利用者は、ご自身の責任において、医薬品の購入・使用に関する現地の最新情報を確認し、居住国の法律・規制を遵守する必要があります。 当社は、本記事の情報が利用者の居住国の法規に適合することを保証するものではありません。
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