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【第2回】海外駐在員の薬事情 – 健康リスクと人事の備え 

アメリカ駐在者の健康管理: 痛み止めゲル「Abreva RAPID PAIN RELIEF」とは?

はじめに ― 駐在者の“ちょっと痛いだけだから”が大きなトラブルになる前に 

海外に赴任する社員の健康管理は、企業の人事・労務担当者にとって重要な業務のひとつです。 現地で体調を崩した際、どのような薬を選べばよいか分からず困惑する駐在員も少なくありません。 

「日本と成分が違う」「パッケージが読めない」「服用後に副作用が出た」——そうした不安やトラブルに直面することが、現地での健康管理をさらに難しくしています。 

本連載「海外駐在員の薬事情 – 健康リスクと人事の備え」では、企業人事の皆さまが海外勤務者の健康を適切に支援できるよう、各国で購入可能な市販薬の情報を紹介していきます。 
対象国ごとに、どのような薬があるのか、どのような点に注意すべきかを整理し、駐在員本人への情報提供や社内の安全衛生活動に活用いただける内容を目指しています。

今回取り上げるのは、アメリカで市販されている「口唇ヘルペス用の痛み止めゲル」Abreva COLD SORE RAPID PAIN RELIEFです。

なぜ駐在員は口唇ヘルペスになりやすいのか?

口唇ヘルペスは、主に単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の感染によって発症します。 
一度感染するとウイルスは体内に潜伏し、免疫力の低下やストレス、紫外線、疲労などをきっかけに再発を繰り返す特徴があります。 

駐在員は、 

  • 異文化適応 
  • 長時間労働 
  • 家族帯同の有無による精神的プレッシャー 

など、日常的にストレス要因を多く抱えており、免疫力が低下しやすい環境にあります。 

「外見に症状が出るけれど命に関わるものではない」症状こそ、早めの対処を促すサポートが人事に求められる分野です。 

製品紹介:Abreva COLD SORE RAPID PAIN RELIEF

「Abreva」は、アメリカで広く流通している口唇ヘルペス対策のブランドです。
中でも「RAPID PAIN RELIEF」は、患部の痛み・かゆみを一時的に和らげるために使われます。 なお、ヘルペス自体を治療するものではなく、自然治癒までの間の症状緩和を目的とする製品です。

製品概要

項目内容
分類 市販薬(処方箋不要) 
有効成分 リドカイン 4%、グリセリン 20% 
主な用途 口唇ヘルペスの痛み・かゆみの一時緩和 
用法・用量 1日最大4回塗布。7日以内の使用。対象は12歳以上 
使用時の注意 飲み込まない。患部を清潔に保つ。目・鼻など粘膜部位は避ける 
副作用例 接触皮膚炎、リドカインアレルギー反応など 
禁忌事項 リドカイン過敏症、12歳未満(医師相談要) 
保管方法 室温(20〜25℃)、直射日光・高温多湿を避ける 
剤型 透明ジェルタイプ 

日本の薬とどう違う?

Abrevaは局所麻酔成分であるリドカインを主成分とする外用ジェルで、日本の一般的な皮膚薬(ステロイド外用剤やかゆみ止めクリーム)とは系統が異なります。 

たとえば、日本の「メンソレータムADクリームm」にも局所麻酔成分は含まれるものの、濃度や他の配合薬剤が異なり、直接的な代替とはなりません。 

特に、リドカインに対する過敏症の有無を事前に把握していない場合、初回使用後の皮膚反応をよく観察することが重要です。 

初めて使用する場合のセルフチェック:

  • 塗布後15〜30分以内に赤み・腫れ・かゆみが増していないか確認する 
  • 患部以外に発疹や違和感が出ていないか観察する 
  • 異常を感じた場合は直ちに使用を中止し、現地薬剤師・医師に相談する 

人事担当者に求められる支援とは?

人事担当者が薬を推奨することはできませんが、社員が現地で正しい選択をするための「選択肢」を共有することは、健康リスク管理の一環として有効です。 

特にアメリカでは医療費が高額なため、「軽微な不調時はまず市販薬で様子を見る」という文化が定着しています。 
このため、現地の市販薬に関する情報を整理しておくことは、海外勤務者の健康リスク低減を支援する一助となり、企業の健康管理施策を補完する取り組みといえるでしょう。 

出典・参考資料

※本記事は、市販薬に関する一般的な情報を提供するものであり、診断・治療・服用指導を行うものではありません。 
使用に際しては、必ず現地の薬剤師・医師に相談してください。 
使用上の注意は、各製品のパッケージや添付文書に基づきます。 

次回予告:各国の鎮痛剤や胃腸薬などもご紹介予定

いかがでしたか? 海外での医薬品に関する情報は、赴任者の健康管理において重要な要素です。 次回以降は、マレーシア・インドで購入可能な、風邪薬・胃腸薬・鎮痛薬といった、よくある症状に使われる市販薬を取り上げます。 

SaveExpatsは、企業の人事担当者様、そして海外赴任者とそのご家族をサポートするサービスを提供しております。 海外での健康管理や生活に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。 

※免責事項:

  • 情報提供の目的と対象者:本記事は、米国に在住または赴任されている日本人の方々への一般的な情報提供のみを目的として作成されています。 
  • 日本国内未承認の医薬品について:本記事で紹介されている医薬品は、特定の国・地域において承認・市販されているものですが、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を得ておらず、日本国内では販売されておりません。 したがって、本記事はこれらの医薬品の日本国内での使用や個人輸入等を推奨、斡旋、または広告するものでは一切ありません。 
  • 医学的助言の否定:本記事で提供される情報は、いかなる医学的、診断的、または治療的な助言を構成するものではありません。医師、薬剤師、その他の資格を有する医療専門家による個別の助言に代わるものとして利用されるべきではありません。健康上の問題や医薬品の使用に関する疑問については、必ず医療専門家にご相談ください。 
  • 専門家への相談義務:いかなる医薬品(市販薬を含む)であっても、その使用を検討する前、または使用する前には、ご自身の健康状態、アレルギー歴、現在服用中の他の医薬品との相互作用などを考慮し、必ず現在お住まいの国・地域の医師または薬剤師にご相談の上、その指示に従ってください。 
  • 現地法規の遵守と確認:医薬品に関する規制、承認状況、入手可能性、製品の成分・名称・パッケージ等は、国や地域によって大きく異なります。利用者は、ご自身の責任において、医薬品の購入・使用に関する現地の最新情報を確認し、居住国の法律・規制を遵守する必要があります。 当社は、本記事の情報が利用者の居住国の法規に適合することを保証するものではありません。 
  • 効能・効果に関する情報について:本記事に含まれる可能性のある効能・効果に関する記述は、海外における一般的な情報や製品情報に基づくものであり、特定の製品の有効性や安全性を当社が保証または推奨するものではありません。また、これらの効能・効果は日本の薬機法において承認されたものではありません。自己判断での使用は避け、必ず専門家にご相談ください。 
  • 推奨・保証の否定:特定の製品に関する情報の掲載は、当社がその製品の品質、有効性、安全性を保証したり、使用を推奨したりするものではありません。 
  • 情報の正確性・完全性について:本記事は注意を払って作成しておりますが、その情報の完全性、正確性、適時性、特定目的への適合性について、いかなる保証も行うものではありません。情報は予告なく変更・削除されることがあります。 
  • 利用者の責任:利用者は、自身の判断と責任において本記事の情報を利用するものとし、本記事の情報に基づいて行われたいかなる作為または不作為の結果についても、当社は責任を負いかねます。 
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