– 株式会社SaveExpats医療統括統部長に聞く、ここで働く魅力 –
海外赴任者と、そのご家族の健康を支援する株式会社SaveExpats(以下、SE)。SEでは、海外で働く人だけでなく、その生活背景や帯同家族まで含めた支援を行っています。今回はSEの長谷川医療統括本部長に、SEならではの支援、働く魅力、そして一緒に働きたい看護職像について聞きました。
― SEの看護職は、企業ではたらく産業保健看護職と何が違うのでしょうか?
一つは、より中立的な立場で相談者に関われることだと思います。企業内看護職は、中立性を大切にしながら業務を行っています。しかしそれと同時に、自分自身がその企業に所属する社員という立場でもあるため、支援の在り方が組織の方針や会社判断の影響を受ける場面もあります。また、企業内という環境ゆえに、従業員が会社に伝えづらい内容などの相談について、相談をためらうケースもあります。一方、SEは企業の「外」から支援する立場です。だからこそ、会社には話しにくいことも含めて相談してもらいやすい。そこはSEの大きな特徴ですね。
― EAPに近い役割もあるのでしょうか?
そうですね。SEの支援は、EAP(Employee Assistance Program/従業員支援プログラム)的な役割にも近いと思っています。EAPでは、仕事だけでなく、家族、介護、キャリアなど、会社には相談しにくいことも含めて支援します。SEも同じように、「海外生活で困っていないか」「家族のことで悩んでいないか」「生活そのものにストレスを感じていないか」といった、その人の生活背景まで含めて話を聞きます。健康だけを見るのではなく、その人の生活全体を見る。そこがSEの看護職の仕事の面白さだと思います。
― 従業員のご家族(以下、帯同家族)も支援対象になるのは、SEならではですね。
そうですね。企業内看護職の場合、基本的な支援対象は従業員です。でも海外赴任では、ご家族の不調が赴任者本人の仕事や健康に影響することもあります。SEでは、帯同家族への面談支援もあります。「海外で働く人」だけでなく、「その人を支える家族」まで見ることができる。これは企業の外から支援するSEだからこそできることだと思います。
― SEで働く魅力は、どんなところにありますか?
いろいろな企業や業種を見ることができることですね。企業内看護職は、一つの会社を深く理解できる良さがあります。一方SEでは、複数の企業に関わるので、「この企業ではこんな取り組みをしている」「この業界ではこんな課題がある」と、いろいろなケースを経験できます。その分、看護職としての知識だけでなく、対応の幅や“引き出し”が増えていく。これは大きな魅力だと思います。
― 印象に残っている面談はありますか?
ご相談者から、赴任先で希望する眼鏡がなかなか買えないという話を聞きました。たまたま私自身がオンラインで眼鏡を購入した経験があったので、その情報をお伝えしました。すると、その方がとても喜んでくださって。「欲しかった情報を、欲しいタイミングでもらえたことが嬉しい」と言ってくださいました。その時、改めて気づいたんです。看護職としての医学的な知識だけではなく、自分自身の経験も誰かを支える“引き出し”になるんだと。海外生活では、日本なら簡単に解決できる小さなことが、大きなストレスになることがあります。そうした困りごとを見つけて、必要な情報につなげることも大切な支援だと思います。
SEが求めるのは、「想像力」と「バランス感覚」
― どんな看護職さんと一緒に働きたいですか?
まず、バランス感覚のある人ですね。相談者に寄り添うことはとても大切です。しかしSEは企業から依頼を受けて支援をしていますから、企業側の視点も必要です。相談者にも企業にも偏りすぎず、両方を見ることができる。そんな人と一緒に働きたいですね。そしてもう一つが、想像力です。海外生活を経験していなくても構いません。大切なのは、自分が経験していないことに対して、「この人にとっては、大きな困りごとなのかもしれない」と想像できること。その姿勢が、信頼関係を築くうえでとても大切だと思います。
― SEで働くことで、看護職としてどんな力が身につくと思いますか?
一番大きいのは、やっぱり看護職としての引き出しが増えることだと思います。さまざまな企業、業種、海外赴任者、帯同家族と関わることで、支援の選択肢が増えていきます。専門知識だけではなく、面談力、相手の背景を想像する力、企業と個人の両方を見るバランス感覚も磨かれていきます。
― 産業保健看護職としてのキャリアにもつながりそうですね。
そう思います。SEでは、一つの会社だけではなく、いろいろな企業を外側から見ることができます。さらに、海外赴任者や帯同家族という、企業内の産業保健領域では、なかなか深く関わる機会の少ない方への支援も経験できます。産業保健看護職として視野を広げたい、対応できる領域を増やしたい方には、とても面白い環境だと思います。
― 最後に、SEで働くことを考えている看護職さんへメッセージをお願いします。
SEの仕事は、健康相談だけをする仕事ではありません。海外で働く人の仕事や生活、その人を支える家族まで含めて考えていく仕事です。だからこそ、看護職として培ってきた専門性だけではなく、これまで自分自身が経験してきたことも、すべて支援の力になると思っています。もっと幅広い産業保健を経験したい。一人ひとりの背景まで考えながら支援したい。看護職として、自分自身の引き出しを増やしたい。そんな方と、ぜひ一緒に働きたいですね。自分の専門性と人生経験を、海外で働く人とその家族のために活かす。それが、SEだからできる看護職の働き方だと思います。
編集後記
今回のインタビューで特に印象に残ったのが、「海外経験がなくても、そこで暮らす人の困りごとを想像する力が大切」という言葉です。海外で働く人たちが抱える悩みは、健康のことだけではありません。仕事や生活、そして一緒に暮らす家族のことまで、さまざまな要素がつながっています。そうした一人ひとりの背景に思いを巡らせ、必要な支援につないでいくことも、SEの保健師だからこそできる仕事なのだと感じました。今回のお話を通して、SEの看護職が担う役割の大きさと、この仕事ならではの魅力を改めて感じることができました。