インド駐在者の健康管理:腸内菌バランスを整えることを目的に用いられる「Enterogermina」とは?
はじめに:虫刺されが思わぬ感染症につながる前に
海外赴任者の生活環境の整備は、企業の人事担当者にとって重要な業務の一つです。赴任者が新しい環境で円滑に業務を遂行し、充実した生活を送るためには、現地の文化、生活習慣、医療事情、教育環境など、多岐にわたる情報の収集と提供が不可欠です。特に、現地で入手可能な医薬品に関する情報は、赴任者の健康管理において重要な要素となります。
本シリーズでは、薬剤師監修のもと、海外の医薬品に関する情報を提供し、企業の人事担当者や赴任者本人が、現地での健康管理を適切に行うための参考情報をお届けしています。 今回は、インドで広く使用されている整腸用製品「Enterogermina(エンテロジャーミナ)」をご紹介します。
インドへの赴任者や出張者にとって、食事や水の違いに起因する胃腸の不調は比較的よく見られるトラブルのひとつです。 安心して業務に当たれる環境を整えるうえで、現地で入手可能な医薬品の特徴や使用時の注意点を事前に把握しておくことは、小さな支援でありながら、大きな安心につながります。
※本記事は一般情報の提供を目的としており、医療行為、服薬指導、医薬品推奨を行うものではありません。服用判断は必ず現地の薬剤師・医師へご相談ください。
インドにおける、「腸活」の実情とは?
インドに赴任した多くの日本人駐在者が直面するのが、食文化の違いや水質環境による胃腸の不調です。スパイスの多い食事、地域によって異なる衛生レベルは、特に赴任初期において下痢や腹部の不快感を引き起こす要因となり得ます。
現地で医療機関を気軽に受診できない環境下においては、ある程度の体調不良は市販薬で様子を見ると判断をするケースも多く、信頼できる整腸剤の選択肢を知り、腸内環境の改善(いわゆる「腸活」)に関する情報を得ることが赴任者の安心につながります。

Enterogerminaとは?
Enterogerminaは、Sanofi Healthcare India 社が販売する腸内環境の改善に寄与する可能性のある善玉菌入りの製品で、有効成分としてバチルス・クラウシ菌(Bacillus clausii)の芽胞を含んでいます。 この菌は胃酸に強く、腸内で活性化して、腸内フローラのバランスを調整する働きがあります。 下痢や腹部不調の緩和、抗生物質使用時の腸内環境改善などに用いられています。
用法・用量
Enterogerminaは、液体タイプのミニボトル(5mL)として提供されています。 推奨される用量は以下の通りです:
- 成人: 1日2~3本
- 小児(生後1ヶ月以上): 1日1~2本
使用前によく振り、開封後はすぐに服用してください。 抗生物質と併用する場合は、服用時間を2~3時間ずらすことが推奨されています。 これは、抗生物質が腸内環境を整えるための善玉菌の効果を低下させてしまうことを防ぐためです。
剤型の特徴と服用時のポイント
日本では整腸剤といえばカプセルや錠剤が一般的ですが、Enterogerminaは液体タイプである点が特徴的です。 液体タイプの使用時のポイントについて以下にまとめました。カプセルや錠剤と比較した液体タイプの特徴を押さえておきましょう。
| 項目 | カプセル・錠剤 | 液剤タイプ |
|---|---|---|
| 剤型 | 固形 | ミニボトルなどに入った液体 |
| 利便性 | 成人にとって飲みやすい。 携帯に便利 | 小児・高齢者にとっても飲みやすい |
| 吸収スピード | 一般的に液体より時間がかかる | 比較的早く吸収されやすい |
| 保存方法 | 比較的容易 (湿気を避ける) | 開封後はすぐに服用 30度以下で保存 |
| 使用時の注意点 | 水と服用することが前提。 飲み込むことが難しい場合がある。 | 開封後はすぐに使用し、光・熱に注意する。 |
使用上の注意点
- 副作用: まれに過敏症(発疹など)が報告されています。 異常を感じた場合は使用を中止し、医師に相談してください。
- 禁忌: 本剤成分にアレルギーのある方は使用しないでください。
- 小児への投与: 乳児を含め使用可能ですが、誤嚥に注意してください。
- 免疫抑制状態の方: 免疫力が低下している方は、使用前に医師に相談してください。
インドでの入手方法と注意点
Enterogerminaは、インド国内の薬局やオンラインプラットフォーム(例:Netmeds、PharmEasy、Apollo Pharmacyなど)で購入可能です。 製品によっては「要処方箋(Rx)」と記載されている場合もありますが、多くは「Over-the-Counter(OTC)」、つまり処方箋なしで購入できる市販薬として扱われています。
ただし、購入時には製品ラベルやパッケージの記載を確認し、疑問がある場合は薬剤師に相談してください。

企業人事としての対応
企業の人事担当者として、赴任者が現地での生活や業務を円滑に進められるよう、健康管理に関する情報提供は重要です。 例えば、赴任前研修や安全衛生活動の中で、現地で入手可能な医薬品の一般的な特性や使用上の注意点を紹介することは、企業としての健康支援の一環となります。
ただし、特定の製品を推奨するのではなく、あくまで情報提供としての立場を明確にし、必要に応じて医師や薬剤師に相談するよう促すことが重要です。
Enterogerminaは、インドで広く使用されている整腸剤であり、赴任者の健康管理において有用な選択肢の一つです。 現地での生活において、胃腸の調子がすぐれないときや抗生物質使用時の腸内環境の改善を目的として、適切に活用することが期待されます。 企業としても、赴任者が安心して現地生活を送れるよう、必要な情報提供やサポート体制の整備を進めていくことが求められます。
出典・参考文献
次回予告:各国の市販薬をご紹介予定
いかがでしたか? 海外での医薬品に関する情報は、赴任者の健康管理において重要な要素です。 次回は、インドで購入可能な整腸剤といった、よくあるお困りごとに使われる市販薬を取り上げます。
SaveExpatsは、企業の人事担当者様、そして海外赴任者とそのご家族をサポートするサービスを提供しております。 海外での健康管理や生活に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※免責事項:
- 情報提供の目的と対象者:本記事は、マレーシアに在住または赴任されている日本人の方々への一般的な情報提供のみを目的として作成されています。
- 日本国内未承認の医薬品について:本記事で紹介されている医薬品は、特定の国・地域において承認・市販されているものですが、日本の医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を得ておらず、日本国内では販売されておりません。 したがって、本記事はこれらの医薬品の日本国内での使用や個人輸入等を推奨、斡旋、または広告するものでは一切ありません。
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- 専門家への相談義務:いかなる医薬品(市販薬を含む)であっても、その使用を検討する前、または使用する前には、ご自身の健康状態、アレルギー歴、現在服用中の他の医薬品との相互作用などを考慮し、必ず現在お住まいの国・地域の医師または薬剤師にご相談の上、その指示に従ってください。
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